体を温め、疲れをいやしてくれるお風呂。
ですが、入浴中に気を失い浴槽の中でおぼれる事故は寒い時期に多く、特に高齢者は交通事故で亡くなる方の約2倍と言われています。
・入浴事故はなぜ冬に増えるのでしょうか
入浴時の事故が多くなる原因の一つは、急な温度差による血圧の変化があげられます。
・暖かい室内(血圧は安定している。)
・冷えている脱衣所(血管が縮んで血圧が上がる)
・衣服を脱いで寒い浴室へ(血圧がさらに上がる)
・体温より熱い浴槽内(血管が広がり血圧が下がる)
この急激な血圧の上がり下がりにより、一時的に脳内に血液が回らず貧血の状態となり一過性の意識障害を起こすことがあります。浴槽内で起きた意識障害がおぼれて死亡する事故の原因の一つとなります。普段から血圧が不安定な方、風呂場でめまいや立ちくらみを起こしたことのある方も注意が必要です。
★入浴中の事故を防ぐために心がけること★
①入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく
脱衣所や浴室内を暖めておきましょう。浴槽内の蓋を外しておいたり、入浴前に
前もってシャワーを出しておき浴室の温度をあげ、茶の間や浴槽との温度差を少なくするように心がけましょう。
②お湯の温度は41度以下、お湯につかる時間は10分までを目安にする。
熱いお湯で入浴すると急に体温があがり、意識障害を起こす危険が高まります。
お湯の温度は41℃以下に設定し、お湯につかる時間は10分以内を目安で長時間の入浴は避けるようにしましょう。また、かけ湯をしてから入浴することでお湯の温度に体を慣らしてから入浴しましょう。
③浴槽から急に立ち上がらない
浴槽でお湯に浸かっている間は体に水圧がかかっており、急に立ち上がることで水圧がなくなり圧迫されていた血管が一気に拡張し脳に行く血液が減ってしまい、めまいや立ち眩み、意識を失うことがあります。手すりや浴槽のへりに掴まりながらゆっくりと立ち上がりましょう。
④食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品の服用後の入浴は避ける。
特に高齢者は、食後に血圧が下がりすぎる食後低血圧により意識を失うことがあり、食後すぐの入浴は避けましょう。飲酒によっても一時的に血圧が下がるためアルコールが抜けてから入浴しましょう。
⑤同居家族がいる場合は入浴前にご家族に声をかける。
入浴中、体調に異変があった場合、早く発見してもらうことが重要です。そのためにも家族に声をかけてから入浴しましょう。高齢者が入浴している場合は入浴時間や物音を気にかけながら、普段と違うと感じた時は声をかけるようにしましょう。
入浴は体を清潔に保つだけでなく、全身のリラックス効果や気分転換であり楽しみの一つでもあります。また血行が良くなり安眠効果も期待されています。
入浴を楽しみながら、事故の予防を心がけ寒い季節を乗り切りましょう。
(連携室スタッフ)