皮膚が乾燥する病気で最も多いのが「皮脂欠乏症」です。皮脂欠乏症でうるおいを保つ物質が減ると、水分が蒸発し皮膚が乾燥した状態になります。皮膚が乾燥すると
①角質層がはがれてすき間ができ、皮膚のバリア機能が低下して、外からの刺激を受けやすくなります。本来なら皮膚に入ってこないはずのアレルギーの原因物質や細菌・ウイルスが侵入しやすくなり、湿疹やアトピー性皮膚炎が発症・悪化しやすく、また、とびひや水いぼなどの皮膚の病気も起こりやすくなります。
②かゆみの知覚神経が皮膚の浅い所の表皮内まで伸びてきて、かゆみを強く感じやすくなります。外からの刺激に敏感になり、衣服がこすれるだけでもかゆみを感じるようになります。かゆみで皮膚をかくと、物理的刺激でさらに皮膚バリア機能が低下します。
高齢者は加齢により、皮膚のうるおいを保つ物質(皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質)が減少し乾燥しやすくなります。「老人性乾皮症」ともいわれ、日常的にみられる病気ですが、自身や周囲から見過ごされることが少なくありません。症状を悪化させないためには、早期から保湿剤の塗布を中心としたスキンケアを行うことが大切です。
☆からだの洗い方
①皮脂を取りすぎないよう熱いお湯や長風呂は避けましょう。
②目の粗いタオルやナイロンタオル、スポンジなどを使ってゴシゴシ洗わないようにし、綿などの刺激になりにくいタオルや素手でやさしく洗いましょう。
③石けんは皮膚への刺激となる添加物(防腐剤、着色料、香料など)の少ないものを選びましょう。
④汚れを落とすのは泡であるため石けんは十分に泡立てて使いましょう。
⑤石けんやシャンプーの成分が残らないよう、ぬるめのお湯でよく洗い流しましょう。
☆保湿剤の使い方
保湿剤の働きには、大きく分けて、皮膚の水分が逃げないように“ふた”をする「エモリエント」(代表的なものはワセリン製剤)と、皮膚に浸透して水分をたくわえる「モイスチャライザー」(代表的なものは、ヘパリン類似物質製剤や尿素製剤)の2種類があります。
①軟膏やクリーム(チューブの場合)
人差し指の先端からひとつ目の関節まで伸ばした量(約0.5g)がおよそ大人の両手の面積に塗る量の目安です。
②ローション
1円玉大の大きさに出した量(約0.5g)がおよそ大人の両手の面積に塗る量の目安です。
塗り方
①手を清潔にして保湿剤をとり、手のひらでやさしく丁寧に、すりこまないようにして塗ります。
②1日2回(朝と夜)は塗りましょう。夜は、とくにお風呂上がりが効果的です。体をふいたらすぐに塗りましょう。
③季節に関係なく1年を通じて続けることが大切です。
(看護スタッフ)